Unbalance + Automatic ※ and I love you

2004年~2007年 29歳~32歳の情念ノート

されちゃった

  • 吉永嘉明 「自殺されちゃった僕」 飛鳥新社

タイトルだけ見て、なんか「ガンバレソング」的な、「自殺ダメ!」的な、癒し系というか自己啓発系というかそんなかんじ?と思って避けちゃうひともいるかも。
しかし、著者の名前をよく見てほしい。この人は青山正明と共に、あの「危ない一号」をつくっていた人じゃん!
って少なくとも僕は驚いたわけですよ。
自ら鬼畜系を標榜し、ドラッグや死体やゴミあさりとかそういうサブカルなアレをつくってたひとの末路!といっちゃ大変失礼だけど、「その後」がこうなっちゃってましたか!ってかんじですよ。


オビ文より引用


>妻が自殺した。残された僕は・・・。
ねこぢる、青山正明、そして最愛の妻---------
残された側の視点でつづる、悲しみと怒りの手記。<


まあ、「危ない一号」ついては「おもしろいことやってんなー」と、それなりに衝撃を受けつつ面白がってただけで、そういうカルチャーに本気で足を踏み入れはしなかったわけですが。
「ねこぢる」については、彼女のご主人、山野一作品と共に、その作品を「愛して」いましたので、その死の真相についてふれた章は僕にとって一番の収穫でした。
彼女の死の真相。また、彼女自身のキャラクターについては、故人の意志を山野氏が律儀に守ったせいもあって、ほとんど公には明かされていなかったのですよ。著者は、彼女とは夫の山野氏とともに、深い親交があったので、そのへんかなり突っ込んで書いてます。


なるほどね・・・・・・・。
あのころの気分を少し思い出したよ。



本書のメインな主題である「自殺」について。
彼は自殺をただ、「感情」で否定する。
おそらく、それ以外の方法なんてないのだ。
あなたのことを好きだから、私はあなたに死んで欲しくない。それがエゴでもなんでも、そんなことはかまわない。
人は他者との関係性の中で生きていく。
「個人の死の自由」なんて、そんな言葉は呪われるとよい。
汚辱にまみれて、生きることを僕は選んだし、キレイナママで死にたいなんて、そんな甘ったれは嘲笑してやる。
とまで、著者が書いているわけではなく、以上の文は、この本にひきづられた僕の言葉です。
まあ、彼女らから見れば、嘲笑されるのは僕の方かもしれないけど。