Unbalance + Automatic ※ and I love you

2004年~2007年 29歳~32歳の情念ノート

幻魔大戦deep

「幻魔大戦deep」(全八巻)読了。
面白かった。
うーん。東丈って結局作者自身だったんだな。
(平井和正の小説の主人公は大概そんなかんじだけど)
そんであれだな。新家族創造譚(C/Sa−Qさん)でいやされたということね。
女好きだし。
行動パターン的には近作のまんまだし。
世界観もアブダクションシリーズと同一だね、たしかに。
でもアレなんだね。
結局平井せんせーは、過去の自分アンド過去の現実と対決するの逃げてるね。
そりゃもうアリアリと逃げている。
書きたくもないし、無視したいんだね。
久保陽子が登場しなかったことが不審だったけど、彼女の存在は、もしかして「みたくない過去の現実」に含まれることがらなのかなあ・・・。彼女の救済が描かれなかったことだけが不満。郁江と結婚する世界はあっても、陽子とかその他の人と上手くいっちゃってる世界は存在しないのかなあ、というか存在はしてるかもしれないよね。自分で想像、もしくは創造しろということですか。

平井和正はきっと八巻ラストあたりの東丈が作家として語っている内容→「自分が書いたことはすべて現実化する。もしくは平行宇宙として存在する」云々のことをリアルに信じているね。これはそもそも「地球樹の女神」を完結させた頃から「気付いた」ことなんだろうと思うけど。
リアル犬神明事件も、玉置山での体験もその妄想を加速させた。
彼はかつて高橋佳子というカリスマに帰依し、高次元の存在や天使をリアルに信じていた。
(その時代の彼自身、およびその理想像が東丈なわけで)
いろいろあって、その価値観をがらりと、ぐれんっとひっくり返した結果至ったのは、自分自身の「神」化だったんだよな、きっと。
家族による癒しはあったに違いないし、人格は幾分まるくなってきたようだけど、いまだに「自分(作家)=神」妄想は抱きつづけているようだ。

僕はそれを批判したり笑ったりする立場にはない。平井和正の妄想は真実を含んでいるかもしれないし、世界が人間、もしくは神々の妄想によってなりたっていることを半ば信じているからだ。残りの半ばは僕自身の妄想がこの世界であると思っているかもしれないけどね?


現実は夢。夢は現実。
現実ほどに精緻な夢をみることは僕にはできないけど、現実がすでに脳内で再構成された夢の如きものであることは間違いない。

夢使いの才能があれば、僕も「素敵なお母さん」のいる世界へ、世界を移すのに。
そんでもちろんイケメンで美女にモテモテの世界にさ!
残念ながら今日も明日も現実にへばりついて生きざるを得ないらしいけど。
世界を移して、残された世界にただひとり残る因業母をみすてるわけにはいかないしね。

夢をみることは救いだと思う。

平井和正という存在と彼の作品は稀有である。それは間違いない。魔法使いの存在を信じていれば、きっと魔法はこの世にあると信じられる。この世の他の世界の存在も信じられる。美しい夢を、儚い夢を、見ることを楽しむことができる。世界は閉じていない。どこまでも開けている。世界は広大で夢もまた無限(インフィニィティー)なのだ。



※ミクシ6月17日より転載