Unbalance + Automatic ※ and I love you

2004年~2007年 29歳~32歳の情念ノート

無題



白い教室。
白のペンキの剥げかかった木製の壁、窓枠。
ワックスが剥げ白けた木目を出した床。並ぶ机と椅子。
静かだ。
男子生徒が窓に机を寄せ上にあがって、白い布地を貼り付けようとしている。
外は陽のひかりの広がる白い世界。
白く光る運動場。半ば陽炎をまとう家並み。
ひかりは徐々につよくなってきているかのよう。
セミが静かにないている。
セーラー服の女生徒も居て、なにか男子生徒と話しながら、やはり窓に白い布を貼り付けている。
教室の床に布の端から洩れる光が白く瞬く。
白い布を貼り付けているのは放射能に備えているらしい。
古いラジヲの雑音の合間に本日午前10時40分に市の近郊で中性子爆弾が爆発するとのニュースが入ったのだ。
女子と男子が何かささやき交している。何を話しているのだろう。それにしても中性子爆弾はもう爆発したのか、それともしてないのか。
少しは白く光るんじゃないかと思うのだけど。
僕は不安なままじっと待っている。