猟奇歌
- 打ちっぱなしのコンクリイトの壁に、狂った女の顔が見える。
- 死体を焼いていたら、腹が膨れて、白い胎児のかたまりがでてきた。
- リストカッターの手首から、やもりが顔を覗かせ。
- 楽しくチャットをしているとそこが癲狂院のホールであったことにふと思い至る。
- 「中の人」の中には灰色の蛞蝓がいる。
- エロゲーの中に自分が居る。選択肢は ○死ぬ ○死ぬ ○死ぬ ○死ぬ
- ふいに近所の犬たちが吼え始めたと思ったら、黒衣の男が自分を引きずって歩いている。犬が飛びかかると男の顔が覗けた。引きつった容貌はまぎれもなく皺だらけの年寄りとなった自分だった。
- 電源の落ちたノオトパソコンの画面に、自分の部屋が映る。幽霊が歩いている。そのままじっと何も考えずに画面を見続ける。
- 群青色の空に呑み込まれて、自分はどこでもないところを漂っている。このままずっと、なにも考えずここでいたい。
(続く)